和歌山アーティストバンク

アーティストバンクに寄せて

ヴァイオリニスト
前東京藝術大学学長 澤 和樹氏

写真:澤 和樹氏

「近年、録音技術やコンピュータの発達、普及によって、いとも簡単に音質の良い録音が手に入り、安易にコピーができる世の中になりました。便利になった裏返しに、これはクラシック、ポピュラーなどジャンルを問わず、演奏やそのマネジメントを生業とする人たちにとっては、極めて厳しい状況です。おりしも世界同時不況といわれる現代、音楽家を取り巻く環境は、ますます深刻さを深めています。

一方、生演奏の素晴らしさは、演奏者と聴き手が同じ空間を共有し、その時、その場でしか体験できない感動があり、どんな優れた録音にも勝るものがあると思います。この度、和歌山にゆかりのあるアーティストの情報を収集し、公開する「和歌山アーティストバンク」が開設されたことは、これまでに演奏機会に恵まれなかった演奏家と、生演奏の素晴らしさを求める聴衆の皆様との新しい出会いを演出する画期的な試みと大いに期待しております。

プロフィール

和歌山県出身。和歌山県文化奨励賞・文化賞受賞。

ヴァイオリンを東儀祐二、吉永清子、鷲見三郎、兎束龍夫の各氏に師事。1973年、東京藝術大学に入学、海野義雄氏に師事。

1979年東京藝術大学大学院を修了。「安宅賞」受賞。

ロンドンに留学し、ジョージ・パウク、ベラ・カトーナ両氏に師事。ロン=ティボー(パリ)、ヴィエニアフスキ(ポーランド)、ミュンヘンなど数々の国際コンクールに入賞。イザイ・メダル、ボルドー音楽祭金メダルを授与される。

1984年に母校東京藝大に迎えられるとともに、本格的な演奏活動を開始。

1989年文部省在外研究員としてロンドンの王立音楽院に派遣される。この時期、アマデウス弦楽四重奏団のメンバーとの出会いにより、澤クァルテットの結成を決意する。フィンランドのクフモ、アメリカのボウドイン、英国の湖水地方、アイルランドのウェスト・コーク音楽祭などの音楽祭などに招聘される他、日本音楽コンクール、ディボール・ヴァルガ、ウラルスク、マンチェスター等国内外のコンクール審査員を務める。

近年は指揮活動にも意欲的で、2003年および2004年には響ホール室内合奏団を率いて英国各地を訪れ、絶賛された。

前東京藝術大学学長。英国王立音楽院名誉会員。英国北王立音楽院学術特別研究員。
紀尾井シンフォニエッタ東京リーダー。千里フィルハーモニア・大阪常任指揮者。 響ホール室内合奏団ミュージックアドヴァイザー。SAWA QUARTET、東京弦楽合奏団を主宰。

ピアニスト 杉谷 昭子氏

写真:杉谷昭子氏 撮影者:秋田大輔

ベートーヴェンは次のように言っています。

「音楽はあらゆるものの中で最も高い啓示である。私の音楽の意義を理解するものは、あらゆる困難から解き放たれねばならぬ」

私もこの様に生きたいと思っています。でも演奏家と聴衆を結びつけて下さる方がいらっしゃらないと実現出来ません。
今回、「和歌山アーティストバンク」が生まれたことは、意義深いことだと思います。

プロフィール

和歌山県出身。和歌山県文化奨励賞・文化賞受賞。

矢田映子、井口秋子に師事して東京藝術大学を卒業後、1969年に西ドイツに渡り、37年の滞独を終えて2007年帰国。デートレフ・クラウス、エリーザ・ハンゼン、ブルーノ=レオナルド・ゲルバー、アレクシス・ヴァイセンベルク、クラウディオ・アラウに師事。

1971年エッセンフォルクヴァングコンクール優勝。72年マリア・カナルス国際コンクール第2位、73年ヴィオッティ国際コンクール銀賞。

1976年ドイツ演奏家国家試験で最高位賞を得て、ケルン音大大学院を卒業、同年ヨーロッパデビュー。その後、アムステルダムコンセルトヘボウ、ロンドンロイヤルアルバートホール、ベルリンコンツェルトハウス、ライプツィヒゲヴァントハウス、ウイーン楽友協会、サントリーホール等世界の歴史的ホールで、ヘルベルト・ブロムシュテット、カジミェシュ・コルト、マルク・アンドレア、アラン・フランシス、エドワルド・マルトゥレット他と北ドイツ放送響、ベルリンシンフォニカー、プラハ放送響、ワルシャワ・フィル、ヴュルテンベルク室内管等と共演。

また、クララ・シューマン国際ピアノコンクールではアルゲリッチ、アシュケナージ、ヴァイセンベルクと並んで審査員を務め、今やその活動はコンサートピアニストにとどまらず、ピアノ教育の最前線にも及び、国際的に広がっている。 ディスコグラフィーは多いが、その中でもブラームスピアノ独奏曲全集と、ベートーヴェンピアノ協奏曲全集(全6曲)は、共に女流ピアニストとして世界初の快挙として記憶され、また、珠玉のピアノ曲集「カタリ・カタリ」はいまだにロングセラーを続けている。

2007年にはベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全32曲連続演奏会と全集を完成。
2008年大晦日、オペラシティホールにて日本を代表する16人のピアニストによるベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全曲演奏会で「葬送」「幻想」ソナタを演奏。
2009年3月、珠玉のピアノ名曲集vol.2「誰も寝てはならぬ」をリリースして、販売記念リサイタルを各地で行う、日本を代表するピアニストの1人。

2019年(令和元年)5月8日、杉谷昭子さまがご逝去されました。生前のご功績とご遺徳を偲び、哀悼の意を表します。

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